国民民主党「国債NISA法案」とは? NISAに国債を追加、相続税も非課税にする中身を解説
国民民主党は7月10日、個人向け国債をNISA(少額投資非課税制度)の対象に加え、国債から得た所得を所得税・相続税ともに非課税にする法案を参院に提出しました。正式名称は「少額投資非課税制度における国債に係る所得に対する所得税の非課税に関する措置等に関する法律案」、通称「国債NISA法案」です(新・国民民主党)。
今のNISAでは、個人向け国債は買えません。この記事では、なぜ国債がこれまでNISAの対象外だったのか、法案が何を変えようとしているのか、そして自民党が並行して検討している相続減税案との関係を整理します。
そもそも、なぜ国債はNISA対象外なのか
NISAは株式や投資信託、ETFなど「価格変動リスクのある商品」を対象にした非課税制度です。値上がり益や配当・分配金への課税(通常20.315%)を非課税にすることで、家計に「貯蓄から投資へ」を促す仕組みになっています。
個人向け国債は元本が保証されています。値上がり益で儲ける商品ではなく、決まった利子を受け取る商品です。リスクを取った投資への課税優遇という、NISAの制度趣旨とはそもそも噛み合いません。これが、個人向け国債が長らくNISAの枠外に置かれてきた理由です。投資信託を通じて国債に間接投資することは可能ですが、個人向け国債を直接NISA口座で買うことはできません。
法案の中身
国民民主党の法案が変えようとしているのは、大きく2点です(新・国民民主党、日本経済新聞)。
- 個人向け国債をNISAの投資対象に追加する
- 国債から得た所得について、所得税だけでなく相続税も非課税にする
つまり、保有中の利子だけでなく、相続時の税負担まで軽くする設計です。相続税を絡めているのは、退職世代・高齢層が保有する現預金を国債に振り向けてもらう狙いがあるとみられます。
法案が挙げる4つの背景
党は提出にあたり、次の4つの課題を挙げています(新・国民民主党)。
- 金利のある世界への対応
- 家計金融資産の偏在
- NISA利用層の偏り
- 国債の保有構造
日本経済新聞の報道によれば、現行NISAの投資対象は株式や投資信託といったリスク資産に偏っており、現役世代の利用率は高い一方、現預金を多く持つ高齢層の活用は限定的だという課題意識があります(日本経済新聞)。玉木雄一郎代表は法案提出にあたり、次のように述べています。
「NISAでオルカンのような海外の株に投資するか、現預金か、みたいな極端なポートフォリオ選択しかない状況になってきている。個人が、安定的な投資先で、中長期の資産形成を安定的に行えるような選択肢を作ろうということだ」(新・国民民主党)
「日銀に代わる買い手」という、もう一つの狙い
この法案には、家計の資産形成とは別の文脈もあります。日本銀行は国債の買い入れを段階的に減らしており、これまで最大の買い手だった日銀に代わる安定した保有者を確保する必要が出てきています。国民民主党の法案は、この「個人を新たな買い手層にする」という狙いとも重なります(日本経済新聞)。
同じ問題意識は自民党側にもあります。自民党は個人の国債保有を増やす手段として、相続税の減税を検討していると報じられています(日本経済新聞)。アプローチはNISA経由か相続税単独かで異なりますが、「個人マネーを国債に呼び込みたい」という方向性は共通しています。国債の保有者を増やせば、売り一巡時の急激な金利上昇を抑える効果も見込めるというのが、双方に共通する説明です。
今後の見通し
法案は7月10日に参院へ提出された段階で、まだ審議入りしていません。会期末が近いこともあり、今国会での成立の見通しは立っていません。自民党側の相続減税案も検討段階にとどまっており、どちらの案が先に形になるか、あるいは両方が併存する形に落ち着くかは今後の議論次第です。
出典を表示
- 国債NISA法案を提出(新・国民民主党、2026/07/10) ― 法案の正式名称、提出日・提出先、内容、玉木代表のコメントを掲載する党公式発表。
- 国民民主「NISA対象に国債追加」法案を提出 資産運用を多様に(日本経済新聞、2026/07/10) ― 法案提出の詳細と、NISA利用層の偏りという課題意識を報道。
- 個人の国債保有増へ、自民に相続減税論 国民民主「NISA対象に」(日本経済新聞、2026/06/24) ― 自民党の相続減税案との関係、日銀の買い入れ減額を背景とする文脈を報道。
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