国会の仕組みを知ろう ― 衆議院と参議院、法律ができるまで
国会は、日本国憲法第41条で「国権の最高機関」であり「国の唯一の立法機関」と定められています。ニュースで毎日のように登場する国会ですが、その仕組みを改めて整理してみると、報道の見え方が変わってきます。
衆議院と参議院の違い
日本の国会は、衆議院と参議院の2つの議院で構成される「二院制」です。
| 衆議院 | 参議院 | |
|---|---|---|
| 議員定数 | 465人(小選挙区289・比例代表176) | 248人(選挙区148・比例代表100) |
| 任期 | 4年(解散あり) | 6年(3年ごとに半数改選・解散なし) |
| 被選挙権 | 満25歳以上 | 満30歳以上 |
最大の違いは「解散」の有無です。衆議院は任期途中で解散されることがあり、そのたびに総選挙が行われます。このため衆議院は「直近の民意を反映しやすい」とされ、いくつかの場面で参議院よりも強い権限が認められています。これを衆議院の優越と呼びます。
- 法律案:参議院が否決しても、衆議院が出席議員の3分の2以上の多数で再可決すれば成立します(憲法59条)
- 予算:衆議院に先に提出されます(先議権)。両院の議決が異なり両院協議会でも一致しない場合や、参議院が受け取ってから30日以内に議決しない場合は、衆議院の議決が国会の議決となります(憲法60条)
- 条約の承認:予算と同様の優越が認められています(憲法61条)
- 内閣総理大臣の指名:両院の指名が異なり協議が整わない場合や、参議院が10日以内に指名しない場合は、衆議院の指名が国会の議決となります(憲法67条)
一方の参議院は、解散がなく任期も長いことから、長期的な視点でじっくり審議する「再考の府」としての役割が期待されています。なお、衆議院と参議院で多数派の政党が異なる状態は「ねじれ国会」と呼ばれ、法案の成立が難しくなることから、過去にはこの状態が政権運営の大きな焦点になったこともあります。
国会には3つの種類がある
「通常国会」「臨時国会」といった言葉もニュースでよく目にします。
- 常会(通常国会):毎年1月に召集され、会期は150日間。翌年度の予算審議が中心になります。会期の延長は1回まで認められています
- 臨時会(臨時国会):内閣が必要と判断したとき、またはいずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があったときに召集されます。延長は2回まで可能です
- 特別会(特別国会):衆議院の解散総選挙の日から30日以内に召集され、内閣総理大臣の指名が行われます
「会期末が近づき、法案の審議時間が足りない」「会期を延長するかどうかが焦点」といった報道は、この会期制度を前提にしています。
法律ができるまで
法案が法律になるまでの基本的な流れは次のとおりです。
- 法案の提出 ― 法案には内閣が提出するもの(閣法)と、議員が提出するもの(議員立法)があります。議員立法の提出には、衆議院では20人以上(予算を伴う場合は50人以上)、参議院では10人以上(同20人以上)の賛成が必要です(国会法56条)
- 委員会での審査 ― 法案はまず分野ごとの委員会に付託されます。衆参それぞれに予算委員会や厚生労働委員会などの常任委員会が17あり、必要に応じて特別委員会も設置されます。委員会では趣旨説明・質疑・討論・採決が行われ、重要な法案では有識者や利害関係者の意見を聴く公聴会が開かれることもあります
- 本会議での審議・採決 ― 委員会を通過した法案は、議員全員が参加する本会議で採決されます。本会議は総議員の3分の1以上の出席で開くことができ、原則として出席議員の過半数で議決されます(憲法56条)
- もう一方の議院へ ― 可決された法案はもう一方の議院に送られ、同じ流れで審査されます
- 成立・公布 ― 両院で可決されると法律として成立し、天皇が公布します(官報に掲載されます)。実際に効力を持つ日(施行日)は法律ごとに定められます
実際に成立する法律の多くは内閣提出法案です。ニュースで「政府は今国会での成立を目指す」という表現が使われるのは、このためです。法案の提出状況や審議の経過は、衆議院・参議院の公式サイトにある「議案」のページで誰でも確認できます。
国会の議論は誰でも読める
国会で行われた議論は、国立国会図書館の「国会会議録検索システム」ですべて公開されており、第1回国会(1947年)以降の本会議・委員会の発言を誰でも読むことができます。
「あの法律が成立したとき、国会でどんな議論があったのか」。気になったときに一次情報にあたれることは、二院制や審議の仕組みと並ぶ、日本の国会の大切なインフラです。CIVIC AIのチャットでも、この会議録を自然な言葉で検索できます。
なお、選挙で衆参の議員がどのように選ばれるのかは、選挙制度の基本で解説しています。
参考資料
- 衆議院 ― 議案の審議経過、会議の日程など
- 参議院 ― 同上
- 国会会議録検索システム(国立国会図書館) ― 1947年以降の全会議録
- e-Gov法令検索(デジタル庁) ― 日本国憲法・国会法をはじめ現行法令の条文
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法律ってどういう流れで成立するの?衆議院と参議院の役割の違いもわかりやすく教えて