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副首都法案が衆院通過。「大阪ありき」批判の的は指定要件の「特別区設置」でした

副首都を創設するための法案が、2026年7月15日に衆院を通過しました。自民・維新の修正協議にチームみらいも加わって賛成に回った一方、中道改革連合や国民民主党は「大阪ありき」だと最後まで追及しています。

争点になったのは、副首都の指定要件です。法案の付則には、政令指定都市を廃止して東京23区のような「特別区」を置くことが要件の一つとして想定されており、現時点でこれを目指しているのは大阪市だけ。ここが「大阪のための大阪の法律」と呼ばれる理由です。何が決まり、何が決まっていないのか、7月13日以降の国会審議を中心に整理します。

何が起きたか ― 6月24日の提出から7月15日の衆院通過まで

  • 2023年:前身にあたる副首都機能整備推進法案が国会に提出されるも、成立せず廃案に。
  • 6月24日:自民・維新がブラッシュアップした「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案」を衆院に提出。
  • 7月13日:衆院の地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会で審議。中道改革連合の早稲田夕季副代表が「大阪ありき」だと追及。
  • 7月14日:自民・維新・チームみらいの幹事長らが会談し、副首都の整備に情報通信技術の活用を図る旨を加える修正で合意。これを受けてチームみらいが賛成に転じる。
  • 7月15日:衆院本会議で可決、通過。中道改革連合と国民民主党は反対。参院に送られ、7月17日の会期末までの成立を与党は目指しています。

法案そのものの狙いや「大阪都構想」との絡みについては、提出直後の内容をこちらの記事で詳しく扱っています。この記事では、それ以降の国会審議で出てきた新しい論点を中心に書きます。

副首都は何のためにあるのか

法案が定める副首都の役割は二つです。一つは、首都直下地震のような大規模災害で東京圏の政治・行政・経済の中枢機能が止まったときに、それを代替すること。もう一つは、平時に「多極分散型経済圏の形成」の中核を担うことです。

日本総合研究所の若林厚仁氏の整理によれば、災害時の代替機能だけを担う「首都中枢機能代替地域」には小規模な地方都市も選ばれる余地がある一方、副首都はそれに加えて経済圏の中核も担うため、相応の経済規模を持つ大都市圏に候補が絞られるとみられています。法案成立後は、公布から3カ月以内に施行、政府が1年以内に基本方針を策定、それを踏まえて道府県が申し出て、首相が指定するという流れになります。

指定の「4要件」、国会答弁ははぐらかされた

7月13日の委員会で、早稲田夕季氏はこう切り込みました。想定される指定要件に当てはまる自治体は「限りなく大阪にしかほとんどない」。中央大学の佐々木信夫名誉教授の「政治的思惑の強い『ご当地ソング』ではないか」という指摘まで引きながら、なぜこの要件を政令で定めようとしているのかと質しています。

答弁に立った自民党の簗和生氏は、道府県単位で指定する理由をひとしきり説明したものの、要件そのものについてはなかなか触れませんでした。早稲田氏が重ねて問い、ようやく示されたのが次の4点です。

  1. 東京圏との同時被災の可能性が低いこと(防災面)
  2. 国の出先機関など行政機構がすでに立地していること(早期のバックアップ体制と費用縮減のため)
  3. 一定の人口・経済(GDP)の集積があること(多極分散型経済圏の中核を担うため)
  4. 政令指定都市と道府県が「連携協約」を結ぶか、政令指定都市を廃止して「特別区」を設置するか、いずれかで地方行政体制を整えること

問題は4点目です。特別区の設置は、まさに維新が結党以来掲げてきた「大阪都構想」そのもの。しかも現時点でこれを目指す自治体は大阪市しかありません。早稲田氏は「最後のところはあまり明確なご答弁いただけませんでした」と述べ、なぜ特別区設置を要件に含める必要があるのか、簗氏の答弁では説明になっていないと指摘しました。

この点は他の自治体からも異論が出ています。早稲田氏が国会で紹介したところによると、福岡市の高島宗一郎市長は「バックアップ機能という言い方であれば、福岡はまさに適地」「東京圏と同時災害のリスクが最も少ない大都市」と述べているといいます。名古屋市長も、特別区設置を前提にする方針について「必然性に問題がある」と疑問視しているとのことです。なお、具体的な要件は法律の成立後に政令で定めるとされており、7月13日の答弁はあくまで想定される方向性です。

費用負担も、まだ決まっていない

副首都に指定された場合、自治体側にどれだけの税負担や整備費用が生じるのかも、審議では明らかになりませんでした。国民民主党の向山好一氏は、1990年代に国会移転が議論された際、当時の国会等移転審議会が移転費用を12兆3000億円、うち公的負担を4兆4000億円と試算していたことを引き合いに出し、「税負担が発生するのは間違いない」と確認を求めています。この数字は当時の国会移転構想についてのものであり、今回の副首都構想そのものの費用試算ではありませんが、桁の大きさを示す参考値として国会で言及されました。

誰が名乗りを上げているか

候補として名前が挙がっているのは愛知・大阪・福岡の3府県です。愛知は製造業の集積とリニア中央新幹線の開業計画、大阪は京阪神にまたがる経済基盤、福岡は被災リスクの低さとアジアへの近さが強みとされています。このうち大阪府は、府市一体の副首都推進局を設け副首都ビジョンを策定するなど、10年前から準備を進めてきた経緯があり、その点では他県に先んじています。

日本経済新聞は7月15日の衆院通過を報じる記事で、名古屋・福岡・札幌の各市も副首都に意欲を示しており、指定されれば税制優遇による本社移転や企業誘致が期待されると伝えています。多極分散型経済圏の中核という位置づけは、指定された自治体にとって企業誘致やインフラ投資を国のお墨付き付きで進められる材料になる、ということです。

これからどうなるか

法案は参院に送られ、7月17日の会期末までの成立を与党は目指しています。成立しても、副首都がどこになるかはこれから。政令での要件の具体化、政府による基本方針の策定(施行後1年以内)、道府県からの申し出、首相による指定という手続きを経る必要があり、実際に「副首都」を名乗る自治体が決まるまでにはまだ時間がかかります。特別区設置という要件をどこまで厳格に運用するのか、費用は国と自治体でどう分担するのか。この2点は、政令づくりと基本方針の策定過程で改めて焦点になりそうです。


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確信度について: 7月13〜15日の国会審議の発言内容、修正合意の経緯、衆院通過の事実は上記の報道に基づきます。指定要件(4要件)は2026年7月13日時点で自民党議員が答弁で示した想定であり、法律成立後に政令で正式に定められるため、今後変わる可能性があります。費用負担についても審議中に確定した情報はなく、未定のまま参院に送られています。

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副首都の指定要件から「特別区設置」を外し「政令指定都市と道府県の連携協約」だけに絞った場合、大阪以外にどの自治体が要件を満たせるか比較して

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