選挙制度の基本 ― 小選挙区と比例代表はどう違う?
選挙のたびに耳にする「小選挙区」「比例代表」という言葉。投票所で2枚の投票用紙を渡されて戸惑った経験がある方も多いのではないでしょうか。この記事では、日本の国政選挙の仕組みを整理します。
なお、選挙権は2016年から満18歳以上に引き下げられています。
衆議院選挙:小選挙区比例代表並立制
衆議院議員総選挙では、1人が2票を投じます。1票は小選挙区に立候補した候補者名を、もう1票は比例代表で政党名を書きます。
この制度は1994年の政治改革で導入され、1996年の総選挙から実施されています。それ以前の衆議院は、1つの選挙区から3〜5人程度が当選する「中選挙区制」でした。同じ政党の候補者同士が争う構図が政策論争よりも個人後援会や派閥の競争を生みやすいと批判されたことが、改革の背景にあります。
小選挙区(289議席)
全国を289の選挙区に分け、各選挙区で最も多くの票を得た候補者1人が当選します。シンプルでわかりやすい一方、当選者以外に投じられた票(いわゆる死票)が多くなるという特徴があります。
なお、立候補には1人あたり300万円の供託金が必要で、得票が有効投票総数の10分の1に満たない場合は没収されます。
比例代表(176議席)
全国を11のブロックに分け、政党の得票数に応じて議席を配分します。配分にはドント方式が使われます。各政党の得票数を1、2、3…と順に割っていき、商の大きい順に議席を割り当てる方式です。各党があらかじめ届け出た名簿の順位に従って当選者が決まります(拘束名簿式)。
重複立候補と「復活当選」
衆院選では、小選挙区と比例代表の両方に立候補すること(重複立候補)が認められています。小選挙区で敗れた候補者が比例代表で当選する、いわゆる「復活当選」はこの仕組みによるものです。名簿で同一順位に並んだ重複立候補者の間では、惜敗率(小選挙区での得票数が当選者の得票数の何%だったか)が高い順に当選します。
参議院選挙:選挙区と比例代表
参議院議員通常選挙は3年ごとに行われ、定数248の半数ずつを改選します。こちらも1人2票です。
選挙区(148議席)
原則として都道府県を単位とする選挙区ごとに行われます。ただし「一票の格差」を是正するため、2016年から鳥取県と島根県、徳島県と高知県はそれぞれ2県で1つの選挙区(合区)となっています。
比例代表(100議席)
全国を1つの単位とし、非拘束名簿式で行われます。衆議院と異なり、投票用紙には政党名と候補者名のどちらを書いてもよく、候補者個人の得票が多い順に当選者が決まります。また2019年からは、政党が指定した候補者を優先的に当選させる「特定枠」の制度が導入されています。
「一票の格差」という課題
選挙区によって有権者の数が異なるため、議員1人を選ぶのに必要な票数に差が生じます。これが一票の格差です。
最高裁判所は過去の衆院選・参院選について、格差が大きすぎる状態を「違憲状態」とする判決をたびたび出してきました。これを受けて選挙区の区割りや定数は繰り返し見直されており、衆議院では2022年の公職選挙法改正で小選挙区の「10増10減」が行われ、人口比をより反映しやすいアダムズ方式による配分が初めて適用されました。
選挙制度は固定されたものではなく、司法の判断と国会での法改正を通じて今も変わり続けています。
小選挙区制と比例代表制、それぞれの特徴
2つの制度には、それぞれ異なる特徴があります。
- 小選挙区制は、大きな政党が議席を得やすく、政権交代が起こりやすい制度とされます。一方で、死票が多く、得票率と議席数の差が大きくなりやすい面があります
- 比例代表制は、得票に応じて議席が配分されるため多様な民意を反映しやすく、小さな政党も議席を得やすい制度です。一方で、多党化により単独で過半数を取る政党が現れにくく、連立政権になりやすい面があります
どちらが優れているかは一概には言えず、何を重視するかによって評価が分かれます。日本の衆議院が両者を組み合わせた「並立制」を採用しているのは、それぞれの長所を取り入れようとした結果です。
投票日に行けなくても投票できる
仕事や旅行などで投票日に投票所へ行けない場合は、公示・告示の翌日から投票日の前日まで期日前投票ができます。滞在先の市区町村や指定病院などで投票できる不在者投票の制度もあります。
選挙制度の仕組みを知っておくと、「自分の1票がどう議席につながるのか」が見えてきます。選ばれた議員が国会でどう活動するのかは、国会の仕組みを知ろうで解説しています。各政党や候補者の過去の国会での発言は、CIVIC AIで検索して確認できます。
参考資料
- 総務省「なるほど!選挙」 ― 選挙制度の公式解説
- e-Gov法令検索(デジタル庁) ― 公職選挙法の条文
- 国会会議録検索システム(国立国会図書館) ― 選挙制度改革をめぐる国会での議論