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国旗損壊罪法案で全野党欠席。反対するなら「右翼的」と逃げず、議場で論点を切り分けるべきです

日本国旗損壊罪法案が6月30日、衆院本会議で可決され、衆院を通過しました。共同通信によれば、採決は全ての野党が欠席する異例の形で行われました。法案に共同提出者として加わっていた国民民主、参政も欠席したといいます(47NEWS)。

このニュースを見て、まず思ったのは「反対するなら議論すべきです」ということです。

私は、国旗を大切に思う感情は自然なものだと思います。日の丸を傷つける行為を見て不快に思う人がいるのは当然ですし、それを「古い」「右翼的」と雑に切り捨てる態度には賛成できません。国旗は単なる布ではありません。国民の歴史、共同体、犠牲、誇りと結びついています。だから、国旗をあえて損壊する行為に怒りを覚える人がいるのは、ごく普通の感覚です。

ただし、その感情を刑罰にするかどうかは、別の問題です。

だからこそ、国会で正面から議論する必要がありました。欠席で済ませる話ではありません。

まず「国旗を大切にすること」と「刑罰化」は分けるべきです

この法案をめぐる議論は、すぐに二項対立になりやすいです。

賛成すれば「愛国」、反対すれば「反日」。あるいは逆に、賛成すれば「右翼」、反対すれば「自由主義」。こういう雑な分け方では、肝心の論点が見えなくなります。

本来、分けて考えるべき問いは少なくとも三つあります。

一つ目。日本国旗を尊重すべきか。

二つ目。国旗損壊を刑罰で処罰すべきか。

三つ目。今回の条文と国会運営は妥当だったか。

私は一つ目には強く賛成します。国旗を尊重することは、国民国家の基本的な作法だと思います。国際社会でも、自国の旗を粗末に扱わないことは普通の感覚です。

しかし二つ目は、慎重に考えるべきです。国旗を傷つける行為が不快だからといって、ただちに刑罰を科してよいとは限りません。刑罰は国家が個人に加える最も強い制裁の一つです。国旗への敬意を求めることと、刑事罰で押さえることの間には、大きな段差があります。

三つ目も別問題です。条文が曖昧なら修正すべきですし、国会運営が強引なら批判されるべきです。ですが、それは「国旗を守る法案だから悪い」という話とは違います。

この切り分けを、野党は議場でやるべきでした。

反対派が説明すべきだったこと

共同通信の続報によれば、法案は「人に著しく不快、嫌悪の情を催させる方法で公然と国旗を損壊、除去、汚損した者」に、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を科す内容だとされています(47NEWS)。

ここには、たしかに議論すべき点があります。

「著しく不快、嫌悪の情を催させる方法」とは何か。誰の不快感を基準にするのか。政治的抗議、風刺、芸術表現、演劇や映像作品の中の表現はどう扱うのか。政府批判の文脈で国旗を使った場合、どこからが処罰対象になるのか。

こうした問いは、表現の自由と刑罰の境界に関わります。軽く見ていい論点ではありません。

だから反対派が本当にこの点を問題視するなら、堂々とこう言えばよかったのです。

「国旗を尊重する理念には反対しない。しかし、この条文では処罰範囲が曖昧で、政治的表現を萎縮させる恐れがある。だから修正を求める」

これなら、多くの人が耳を傾ける余地があります。

逆に、国旗尊重そのものを冷笑するような態度を取れば、反対論は一気に弱くなります。国旗を大切に思う人の感情を踏みにじりながら「表現の自由」を語っても、説得力は出ません。自由を守りたいなら、不快に思う側の感情も正確に扱う必要があります。

「右翼的」と決めつけるだけなら、野党は批判されて当然です

国旗損壊罪法案に反対する理由は、ありえます。

条文が曖昧です。刑罰が重いです。現行法で対応できる場面があります。政治的表現の萎縮が心配です。外国国章損壊罪との比較は単純ではありません。こうした反対論は、議論に値します。

ですが、「右翼的な法案だ」「愛国アピールだ」と決めつけるだけなら、それは批判されるべきです。

国旗への敬意を求めること自体は、極端な思想ではありません。日本国民が日本国旗を大切にしてほしいと考えるのは、むしろ自然な感情です。それを最初から危険思想のように扱えば、野党は普通の国民感情から離れていると見られても仕方がありません。

政治家の仕事は、国民感情をあおることでも、見下すことでもありません。感情の中にある正当な部分を認めた上で、それを法律にするときの危うさを説明することです。

国旗を守りたいという感情は正当です。では、その守り方として刑罰が適切なのでしょうか。条文は過不足ないのでしょうか。濫用防止の仕組みはあるのでしょうか。ここを詰めるのが国会の仕事です。

欠席は、論点を有権者から見えにくくします

今回、さらに問題なのは全野党欠席という形です。

共同通信は、与党の国会運営への反発から、法案提出に加わった国民民主、参政も含め全野党が欠席したと報じています。国民民主の玉木雄一郎代表は「法案どうこうではない。冷静に与野党が議論できる環境を回復してほしい」と述べたということです(47NEWS)。

もし欠席の理由が法案そのものではなく国会運営への抗議なら、それはそれで説明が必要です。

有権者から見れば、採決欠席は「法案に反対した」のか「運営に抗議した」のかが分かりにくいです。まして今回は、法案提出側にいた党まで欠席しています。これでは、どの党が法案の中身に賛成で、どの党が条文に反対で、どの党が運営に抗議しているのか、輪郭がぼやけます。

国会運営への抗議が必要な場面はあります。ですが、国旗と表現の自由に関わる法案で、論点を曖昧にしたまま欠席するのは悪手だと思います。反対なら反対討論をすればいい。修正案を出せばいい。少なくとも、何に反対しているのかを議事録に残すべきでした。

議場からいなくなれば、賛成派の言葉だけが残ります。野党がそれでいいのでしょうか、という話です。

与党も「国旗を大切にしないのか」と踏み絵化してはいけません

一方で、与党側にも責任はあります。

この法案は、政治的に非常に踏み絵化しやすいものです。「国旗損壊を罰することに反対するのか。では国旗を大切にしないのか」という問い方は、世論には分かりやすいです。しかし、分かりやすい問いほど、制度設計の問題を隠してしまいます。

刑罰法規は、感情の強さだけで作ってはいけません。どの行為を、どの目的で、どの程度の罰で処罰するのか。警察や検察がどこまで捜査できるのか。政治的抗議をどう除外するのか。曖昧なまま通せば、将来の運用に不信を残します。

国旗を大切にするからこそ、法律も丁寧に作るべきです。国旗尊重の理念を、粗い刑罰法規に乗せてしまえば、かえって国旗をめぐる議論が政治的対立の道具になります。

推進派が本気で国旗の尊厳を守りたいなら、反対派を「反日」と決めつけるのではなく、懸念に答えられる条文を示すべきです。

結論。反対するなら、国旗への敬意を認めた上で議論すべきです

私の結論はこうです。

日本国旗を大切にすべきだという感覚は、当然に尊重されるべきです。日の丸を損壊する行為に怒りを覚える人を、時代遅れだとか右翼的だとか決めつけるのは間違っています。

その上で、刑罰化には刑罰化の論点があります。表現の自由、条文の曖昧さ、処罰範囲、濫用防止。ここは議論しなければなりません。

だから野党に求められていたのは、欠席ではなく説明でした。

国旗尊重には賛成なのか。刑罰化に反対なのか。条文に反対なのか。国会運営に抗議しているのか。それを切り分けて、議場で述べるべきでした。

国旗を大切に思う国民感情を雑に扱う野党は、批判されて当然です。同時に、国旗を盾にして制度設計の議論を省く与党も、批判されるべきです。

こういう法案ほど、賛成か反対かのラベルではなく、条文と運用で議論する必要があります。国旗を尊重する社会でありたいなら、なおさら国会は逃げずに言葉を尽くすべきでした。


出典

※法案への評価、欠席戦術への批判、国旗尊重と刑罰化を切り分けるべきだという主張は筆者の意見です。

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国旗損壊罪法案をめぐる賛成派と反対派の論点を、国旗尊重・表現の自由・国会運営の3点に分けて整理して

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